最近のトレンドワード急上昇中!の #スニ活、ご存知ですか?
スニーカーで就職活動しよう!
そんなキャンペーンです。
絆創膏メーカーであるジョンソン・アンド・ジョンソンを中心に、賛同した他企業も一緒になって展開しています。
目次
#KuToo からの #スニ活
靴ずれで出血してしまって大変な就活生にフォーカスしているものの、#KuToo 運動からの流れがあってのことでしょうね。
#KuToo とは、#MeToo の流れで起こったパンプス反対運動。
靴(くつ)と苦痛(くつう)の掛詞で、パンプスの大変さを表現したものです。
「パンプスを強制された」
「いつも足に痛い思いをさせられた」
「男性もパンプスを履いてみなさい」等々
強い言葉で男性社会に警鐘を鳴らしました。
理由あって、そこまで肩入れはしませんでしたが、パンプスマストの女性たちにとってよい方向になるといいな、と思って見ていました。
その流れでの #スニ活 でしょう。
当店もパンプス中心からスニーカーのオーダーメイドにシフトしてきたという背景がありますから、基本的には支持します。
TPOやマナーについては教育が必要
ただ、コメントの中には、
「革靴は悪者!好きな靴で活動させて欲しい」
という主旨のものもあり、危ないなと感じるところもあります。
自分のためではなく、周囲を嫌な気分にさせないのがマナー、社会人の基本。
その場に相応しい服装、TPOについては、別途教育が必要でしょう。
若者に迎合するキャンペーンと言われないためにも。
#スニ活は対症療法でしかない
そして、注目すべきは#スニ活の本質でしょう。
靴ずれを起こすから、革靴・パンプスをやめて、スニーカーに履き替えましょうという主旨ですよね。
ということは、
靴ずれを起こさないで、就活できること
が#スニ活の本質ということです。
それでは、
スニーカーに履き替えれば、100%靴ずれを起こさないのでしょうか?
残念ながら、スニーカーでも靴ずれを起こす人はいます。
靴屋の現実として、スニーカーに履き替えて終了、とは行かないのですね。
どうしてでしょうか?
ここを掘り下げない限り、靴ずれは起こり続けます。
スニーカーはパンプスに比べれば革の量もたっぷりしてるし、紐で調整が効くので、足によい履物であることは間違いないです。
でもそれが全てではないのです。
つまり、スニーカーに履き替えることは対症療法、もしくは、靴ずれを起こさない階段の1ステップにすぎないということです。
大切なのは、まず靴ずれが起こる原因を分析すること。
そうすれば、靴ずれの根本療法にたどり着けます。
靴ずれを起こす原因と対策
ご存知でしょうか?
靴ずれは、やけどと同じメカニズムで発生します。
靴が足の一部に集中して負荷をかけることで熱が発生し、皮がむけるのです。
ですから、対策としてはこの圧を分散してあげることです。
では、どうしてそんなに強い圧がかかるのでしょうか?
それは、
・靴の選び方
・靴の履き方
・靴とのつきあい方
いずれか、または、すべてに問題があるからです。
この3点からわかりやすく説明していきますね。
靴ずれの原因その1|靴の選び方を間違えている
自分の足のサイズを知っていますか?
靴のサイズではありませんよ。
当店では、8割の方が自分の足のサイズよりも大きく申告しています。
それほど、ここでつまづく方が多いということです。
緩い靴を履いたら、足が安定せず、靴ずれが起こるのも当然ですよね?
足が無駄にいろいろ動くからです。
靴の中で足が前にすべると、足指は捨て寸に押し込められて使えなくなるとともに、踵はパカパカして脱げるようになります。
こんな状態で正しく歩けるはずもなく、靴ずれしやすい環境を整えてしまいます。
「就職活動だからきちんとしたパンプスを準備したい」
とはじめてのヒール靴をオーダーしにいらっしゃるお客さまも多いです。
そうした意味では、就活は自分の足の状態を知るチャンスとも言えます。
靴ずれの原因その2|靴の履き方を間違えている
昨日買った靴を、今日1日中履いていませんか?
慣らし履きって知っていますか?
靴の紐を履くたびにしっかり締めていますか?
紐を締めたまま、靴の脱ぎ履きをしていませんか?
すぐに履ける靴は緩い靴、と覚えておきましょう。
革靴は今日買って明日から履ける靴ではありません。
毎日15分ずつくらいの「慣らし履き」を2週間ほど行ってからデビューです。
またスニーカーの紐は、足と靴を固定させるためにあります。
飾りではありません。
履くたび、紐を締めなおしている方は、これまたとても少数派です。
靴ずれを起こす原因その3|靴とのつき合い方を間違えている
その靴、毎日履いていませんか?
履き潰すまで、1足だけ履いていませんか?
アスファルトの上をピンヒールでガンガン歩いていませんか?
革靴は1日履いたら、2日休ませるのが基本です。
汗腺から水分を蒸発させ、靴が縮もうとしてくれるからです。
本革は動物の皮膚なので、私たちと同じく汗腺があります。
それが、合皮との大きな違い。
そして、そもそもですが、パンプスは歩くための靴ではありません。
2時間程度、絨毯の上を座ったり立ったりして過ごすために作られたものです。
甲がまるっと開いた靴が、歩くのに適しているはずありませんよね?
パンプスは、おしゃれ用の、デザイン重視の靴なのです。
パンプスで外を歩き回るのは日本人だけです。
海外の方は、靴を履き替える習慣が身についています。
靴ずれの原因まとめ
靴ずれの原因はご理解いただけましたか?
これらの原因と反対のことをすれば、基本的に靴ずれは起こりません。
スニーカーに履き替えなくても大丈夫です。
パンプスでも靴ずれを起こさず、快適に歩くことができます。
前述した #KuToo 運動の主宰者は、コメントやインタビューを見る限り、おそらく靴選びを間違えているだけなのですね。
たぶん細足さんなのです。
ですから活動の主旨と、彼女の靴問題は切り分けて考える必要があるでしょう。
パンプスが労災認定される日も近い?
オーダーメイドの靴店として3,000名以上のお足を拝見してきましたが、昔ほど「絶対パンプス!」指定の会社は多くないかなと感じています。
ただ実際、パンプスマストの会社のお客さまは、足を壊しかけている方も多いです。
さらに ストラップNG な業界もあります。
お堅い業界ですね、ホテル、航空、金融、住宅展示場など。
これは苦行ですね。
やはり、
選択肢があること
これが必要ではないでしょうか。そして、
本質も理解しておくこと
NO革靴!NOパンプス!の前に、自分の足をまず知るところからはじめましょう。
パンプスを履いたこともないおじさんたちが決めたルールで、女性が足を壊すという事実は、やはり●●ハラと訴えられていくだろう時代の流れを感じます。
でも、おじさんたちも、きっとそこまで深く考えたことないと思います。
何となくそのまま来ちゃっただけ、主体者意識もない、というのが現実でしょう。
肩を持つわけではありませんが、、、
対立軸にも乗っていないよね、というのが私の率直な感想なのです。
#スニ活、いろいろな角度からぜひ考えてみてくださいね。