こんにちは!歩きやすい靴のオーダーメイドから始める体づくり、小野崎です。
前々から、書かなくては!と思っていた、靴の修理に関するお話。
アンド・ステディでお仕立てした靴は、26,000足を超えます。
お客さまたちからの修理のご相談も、日々、増え続けています。
- ヒールが削れてきたけど、修理できますか?
- つま先をひっかけてできた傷はリペアできますか?
- つま先のソールの削れは、補修できますか?
- スニーカーのつま先と踵が削れたので、修理できますか?
- 靴の中の裏革がほつれたので、修理できますか?
- 中敷が汚くなってきたけど、メンテナンスできますか?
- 紐の交換はできますか?
- ストラップの長さは、短くカットしてもらえますか?
基本的に、靴の修理はすべてできます。
アンド・ステディは、浅草の靴メーカー直営のサロンですから。
ただ、メーカーよりも修理店の方が、お金も時間もかからないことも多いのです。
お客さまたちには、コスパを考えて、修理を依頼した方が良いという考えの下、アドバイスしています。
靴修理におけるコスパとは、
- 靴の残り寿命
- 修理価格
- 依頼引取にかかる労力
- 交通費
- 送料
- お預け期間等々・・・
このあたりをトータルで考えて、どう?ということかなと思います。
「このくたびれた靴を、あえて修理して履くのですか・・・?」
そんな靴もあったりします。
もったいないですよ、とお声がけさせていただくこともあるのです。
修理のご相談をお受けする時は、
- アンド・ステディのサロンで修理できるか(その場でお引渡し、安い)
- 靴の修理屋さんに出したほうがいいのか(よくある修理なら安く、早い)
- 浅草ファクトリーで修理できるか(手間がかかり、2~3週間のお預かり、高価格)
そうした視点から、靴を見ていきます。
やはり、ファクトリーへの持込は最終手段という認識ですね。
靴をリペアして、美しい靴に甦らせる方法をお伝えしていきます。
美しい靴を履いて、正しく歩いていただくこと
がゴールです。
ぼろぼろの靴では、気分もあがりませんね^^;
当店の靴だけに限りませんので、どうぞご参考ください。
靴の修理その1 踵・ヒール
靴を見た時に、最初に目に付く場所が、踵でしょう。
1.地面との接地面についてるゴム、リフトが削れた場合
2.ヒール本体に傷がついたり、削れた場合
主にこの2つで、対処方法が異なります。
いずれも他の修理店さんで補修歴がある場合は、承ることができません。
修理方法が、メーカー、修理店によって異なるためです。
ヒールリフトの修理
いわゆるリフト交換と呼ばれる修理となります。
5cmヒール、7cmヒールであれば、サロンで対応可能、2,000円で承れます。
当日お持ち帰りいただけます。
3cmアーモンドトゥは、現時点ではお預かりとなります。
ローファーやバレエシューズなど2cmヒールは、ヒール交換対応となります。
ヒールの修理
まず、ヒール本体の傷やめくれの場合。
ヒールに巻いてある革が残っていれば、サロンで対応可能です。
目立たないように補修します。
巻き革が残っていないものは、革の欠損という判断となります。
こちらは、ヒール交換しかなくなります。
そして、ヒール本体が下から削れている場合。
こちらはヒール交換という修理で、リフト交換よりも大工事となります。
ファクトリー対応となり、価格も1足6,000円となります。
ヒールを靴から外して、新しいヒールを釘で打ち直しとなります。
強度的に弱い靴となりますので、本当はあまりおすすめできません。
ここまで行くと、修理屋さんが得意な分野となります。
削れた場所まで、平らに削り直して、リフト交換するという対応もあるようです。
ただ、ヒールが低くなりますし、接地ポイントが変わり、リスクも発生します。
お客さまの修理事例をご紹介します。
まず、1足目。
本来、ヒール交換のレベルで、ヒール本体が削れていました。
ヒールはそのままに、リフト交換対応で了承いただいたケースです。
右のヒールリフトが、少し浮いて見えるのがおわかりになりますでしょうか。
この程度なら、リフト交換だけでも目立ちません。
そして2足目。
リフト交換だけでは難しいのは、おわかりいただけると思います。
ヒール本体のプラスチックまで見えてしまっていますね。
一方アッパーは美しいままだったので、ヒール交換となりました。
歩き方のチェックも併せて行いました。
それにしても、ひどい状態です。
ビジュアル的にももちろんですが、O脚養成靴になっていました。
ヒールが斜めに削れていますから、まず、斜めに靴が立ちます。
その靴に足をいれるので、重心が外へ持っていかれる状態でした。
本当に危ないです。
基本的にリフト交換をマメに行えば、ヒール交換まではいかないでしょう。
早期対応が、見た目も、お金も、時間も、お得ということになります。
3年履いても、リフト交換さえせず、靴を美しく保っている方もいらっしゃいます。
踵重心になっていないか、足指に意識を向いているか。
歩き方を見直していただくことも、必要なことです。
靴の修理その2 つま先
靴のつま先も、目立つ場所です。
1.つま先の革が削れた場合
2.つま先のソール削れた場合
主にこの2つで、対処方法が異なります。
革の補修
つま先を地面に引っ掛けてしまって、キズがついたパターンです。
つま先の革補修という対応になります。
革の軽い擦れ 程度でしたら、クリーム補色で対応可能です。
ファクトリーでは黒色のみ受付可能、1足2,000円程度となります。
キズが複数あったり、つま先の色が黒以外の場合は、お近くの靴修理店をおすすめします。
調色師という職業があるほど、色を作ることは難しく、ファクトリーには在籍していないためです。
穴あきレベルの削れは、ファクトリー対応ですが、おすすめしません。
靴をばらして、穴をふさぎますから、見た目も変わるためです。
ソールの修理
つま先のソールが削れた場合。
ソールはゴムでできています。
このゴムが残っていれば、サロンで対応可能です。
目立たないように補修します。
ゴムが残っていないものは、ソールの欠損という判断となります。
ソール全体を張り替えるオールソールは、1足12,000円と高単価です。
つま先だけ一部カットし、硬いゴムを足すソールの先張りをおすすめします。
靴修理店さんで3,000~4,000円で対応していただけると思います。
左まで行くと、革までいっちゃってるので、もうちょっと難しいですね。
ソールは足せますが、革は軽く補修するしかできません。
右がいわゆる、ソールの先張りになります。
この修理が必要ということは、歩行時につま先が上がっていないということ。
歩き方を見直すことが、最大の対策となります。
靴の修理その3 アッパーの表・裏
足を覆う靴の革をアッパーと呼びます。
このアッパーは、外に使用する表面。
そして、内に使用する裏面で構成されています。
糸がほどけたり、穴があいたりと、修理が多いのは、圧倒的に裏面、裏革となります。
アッパーの裏革修理
足に触れる内側の部分、裏革の擦れ、裂け修理は、ファクトリー対応となります。
状態によって、価格も1足4,000円と高単価になります。
深さのあるスニーカーやレースアップ、ブーツ類の修理はできかねます。
おそらくお近くの靴修理店さんの方が、安く、早く、幅広く対応いただけると思います。
革を裏から当てて縫う、靴をばらす等のやり方がありますが、どのような修理になるかは、店舗によって大きく違いがあります。
見た目が変わることもありますので、そこは確認が必要です。
裏革のダメージは、部分的に負荷がかかる歩き方が原因です。
革が緩んでいるのに、インソールの調整をしていない。
スニーカーなら、紐の結び方が間違っている。
靴の中で足がグラグラする歩き方をしている。
外重心・外軌道の方は、小指まわりの裏革が破れ、血糊がついていることもあります。
アッパーの表革修理
高価な革を使用していますので、裏革ほどのダメージはあまり見かけません。
でも、靴の美しさを決定付けるアッパーですから、早期補修が必要です。
アッパー修理はほつれ縫いとなり、ファクトリー対応となります。
こちらも靴修理店さんの方が、安く、早く対応いただけることが多いです。
ストラップの長さ補修
ストラップが長すぎる、短すぎる場合も、ファクトリー対応となります。
フィッティング時であれば、無料。
かなり履いていて伸びた場合は、ストラップカット1足1,000円となります。
ストラップ伸ばしは1足3,000円、ストラップ後付けは1足6,000円となります。
いずれも、靴をすべてばらす必要があるためです。
靴のパーツ交換 中敷・紐
レースアップやスニーカーの紐交換は、1,500円。
中敷交換は、2,000円。
いずれもサロンで対応させていただけます。
足の汗の量が多い方の汗対策、カビ対策は、別途ご相談ください。
靴の修理番外編 スニーカー
スニーカーに関する修理ご相談も多くいただいています。主に、
- ソールの踵とつま先が削れてきたけど、修理できますか?
というもの。これは、ソールの修理に当たります。
結論から申し上げますと、街の修理店さんをおすすめしています。
ソールをすべて張り替えるオールソールは、12,000円です。
これはまだ、もったいないと感じる状態のスニーカーが多いです。
スニーカーのソール修理は靴修理店さんの方が美しく、安い
ある靴修理店大手さんで、スニーカー補修をお願いしてみたところ、
踵とつま先の補修 2,800円(税別)
で美しく仕上げてくださいました。
踵だけであればもう少し安く修理ができるかもしれません。
ビフォーアフターをご紹介します。
まず、うしろ姿から。
外の減り・削れが、フラットになったのがおわかりになりますでしょうか。
さらに左にフォーカスして。
斜めに二層になっていますね。
ソール裏から見ると、こんな感じの仕上がりになっています。
硬めのゴムで補修しているので、歩いても削れにくくなっています。
スニーカーのソール修理の注意点
ただ、注意点がありまして、
1.オールソールをすすめられても断る
2.修理は1日以上預ける
この2点です。
ソールの素材が変わると、履き感も変わる
当店のスニーカーソールは、特別に柔らかい素材を使用しています。
足の返しを最優先した設計のためです。
修理屋さんの補修用ソールは、強度を重視した硬い素材が多いです。
オールソールにしてしまうと、張り替えても同じ履き感にはなりません。
オールソールなら、ファクトリー対応にした方が安全と思います。
修理の接着剤は1日以上置いたほうが強度を増す
また、修理は接着剤が命です。
その場での接着では、つきが悪いです。
接着剤をつけて、1日置いて接着してもらいましょう。
「今日、お持ち返りいただけますよ」
と言われても、強い接着をお願いするようにしてください。
スニーカーで多い修理、パンク
スニーカーの外側がソールから剥がれる、浮く、破れる
スニーカーがソールから分離してしまう状態を、パンクと呼びます。ほとんどが外側のパンクです。パンク修理は1箇所4,500円で承れます。
これは、外倒れの歩行が強い方に多く起こります。ゆるい靴なら、こうした歩行のクセは表面化しにくいものです。
靴の修理に加え、インソールやパーツ設計の見直し、歩き方の修正も並行して行うことをおすすめします。
靴修理店さんの方が、早く、安く仕上がると思います。
靴の修理まとめ
ここまで、いろいろなパターンの靴修理をお伝えしてきました。
靴の修理は、早期対応が、見た目、お金、時間がお得になること。
そして、靴は、歩き方の結果であるということ。
靴修理が必要となる歩き方をしている、ということです。
アンド・ステディのスタッフたちは、靴を見れば、歩き方が見えます。
それは、靴が歩き方を語ってくれるからなのです。
足に合う靴の状態と正しい歩き方をキープすることは、とても大事です。
そのためには、靴にも、歩き方にもメンテナンスが必要なのです。
そして、この記事の大前提は、足に合う靴を履いていることです。
足に合わない靴は、当然のことながら、靴修理の頻度も高まります。
まだ靴を手に入れていない方は、フットカウンセリングから始めましょう。
ボロボロの靴は、自分の気分があがらないだけでなく、
みっともない、だらしない
という印象にも繋がります。
皆さん、見ていないようで、しっかり見ています。
足、靴、歩き方に関する疑問があれば、いつでもご相談ください。
現状の写真を添付いただき、修理専門のお問い合わせフォームからお願いしています。
美しい靴を履いて、正しく歩いていただくことをサポートさせていただきます。