こんにちは!歩きやすい靴のオーダーメイドから始める体づくり、小野崎です。
さて、先日お伝えした木型のお話。
お客さまたちは、とても興味を持っていただいたようです。
さすが、靴のセミプロの皆さまです^^
さて今日は、木型のことを、もう少し詳しくお伝えします。
当店の木型に対する方針をお話してまいります。
目次
靴づくりの土台となる木型でここまでできる
靴をオーダーメイドいただく前に、こんなご相談をよく伺います。
Aさん「左足より、右足が太いんです」
Bさん「ワイズに比べて、踵が細いんです」
Cさん「外反母趾でアッパーのラインが痛いんです」
こうした足のお悩み、ありませんか?
安心してください。
この靴のお悩み、すべて解決できますよ!
な ぜ な ら
当店では、お足ごとに木型をカスタマイズしているからです。
それが、
木型の幅はり、という技術です。
サイズ・ワイズに合わせるだけでは物足りない木型
当店には、AAAA~EEの標準となる木型があります。
いろいろと気を使っていますが、パーフェクトではありません。
この木型をベースに、外反母趾や左右差対応して補正をかけるイメージです。
左より右が太ければ、木型の右足に幅はりをして、ゆとりを出す。
踵が小さい = ワイズが太いということだから、細い木型に幅はりをする。
外反母趾なら、母趾の脇に幅はりをして、スペースをつくってあげる。
サンプルシューズは、あくまでもベースとなる木型です。
試着で苦しくても、木型に補正をかけてあげれば大丈夫、ということがほとんど。
人ごとに、足ごとに、木型を変える、本物のオーダーメイドパンプス
と言っても過言ではありません。
靴メーカーだから、木型の補正ができる
この作業、簡単そうでですが、手間はかかります。
1足1足、職人さんにお願いしなくてはいけませんから。
「Aさんは右だけ幅はり、Bさんは両足幅はり、Cさんは親指に幅はり。
ベースの木型は、皆さん、23cmのAAワイズでお願いします。」
こんな具合です。
これは当店が、浅草に本社とファクトリー機能を持つ靴メーカーだからできること。
ここまで手間をかけるから、履いた瞬間から、「歩きやすい!」と思っていただけるオーダーメイドの靴になってくれるのです。
履き心地の違いは、幅はりの手間の違い
と言ってもいいと思います。
左右の足のワイズが違ったら、歩き方をチェックする
ここでAさんと取り上げましょう。
Aさん「左足より、右足が太いんです」
そして、幅はりは右足だけにいれましたね。
でもこの判断は、Aさんの歩行をチェックしたからできたこと。
この左右差がどこから来ているか、考えた結果なのです。
Aさんの歩き方に、左右差はほぼなく、左右ほぼ等しく使えているということ。
だから、Aさんのお足は、もとから骨格の左右差があったと判断したのです。
歩行の左右差がある方は、むくみも左右差がありますし、太さも同様。
きちんと歩けていれば、足の左右差は埋まり、揃って、整っていくものなのです。
足は変化するもの、なのです。
歩き方のチェックをせず、補正をいれるのは、やはりちょっと危険に感じます。
左右の足のサイズが違ったら、木型も左右変えた方がいいの?
ここで新しく登場したDさん。
Dさん「左足は23cm、右足は23.5cm。左右で木型変えてもらえますか?」
こんなご相談もとても多いです。
でも、当店ではできるだけ、お受けしていません。なぜなら、
足のアーチが変化すれば、サイズも変化する可能性があること
そして、
一生、当店の靴だけを履くわけではないこと
からです。
足の変化について、アーチが上がれば、サイズは下がる可能性があります。
足が立体になるわけですから、足の長さも縮む方が多いです。
これは足の左右差ではなく、歩き方の左右差である、ということ。
だから、最初から左右で違う木型の靴にすることは、これからの足の変化を読んで、靴作りを行っていないように思えてしまうのです。
仮に左右違うサイズで製作しても、左23cm、右23.5cmの靴に体は慣れます。
人体の不思議、脳は心地よさを覚えて、左右同じ靴がもう気持ち悪くて履けなくなっていくのです。
知らなくてよい世界、とお話したりしています。
だから当店では、できるだけ、左右同じ木型で靴をお作りしています。
幅はりだけで、何とかなるケースが95%以上、ほとんどと言っていいでしょう。
木型幅はりの種類
それでは、幅はりの種類をご紹介しますね。
まず、幅はり。
2ミリ程度の厚い革を木型に貼り、ゆとりを作ること。
ワイズを緩めたり、左右差を調整することができます。
次に、深釣り。
アッパーのラインを深くして、関節が収まるようにすること。
でっぱった関節を収めるために必要な調整です。
曲がりの強い外反母趾の場合は、両方行いますね。
踵は細いままのことが多いですから、細い木型がベース。
幅はりして、外反母趾が収まるように深釣りします。
外反母趾の場合は、特に歩き方のクセもより見極める必要があります。
他にも色々な調整方法がありますが、ノウハウとなる部分もあるので、ここまでとさせていただきます。
木型の補正はお任せください
実は、この幅はりサービス、大々的には謳っていません。
でも、当店の強みのひとつだと思っています。
お客さまたちのお足を拝見して、出来たサービスですから。
靴を作ってからじゃ、遅いこと、たくさんあります。
調整の範囲が限られますから。
靴を作る時に調整してあげることがとても大切。
そして、靴だけでなく、やはり足と歩き方を見極めること。
骨格や筋肉の育ち方の補正。
左右差の解消。
靴が出来た時に出来ていると理想的ですね。
もちろん筋肉を育てて、左右差をなくしていくことも大切ですよ。
足の変化を予測して作られた靴は、やはり長く履けるものです。
足に合う靴づくりのための木型選び、補整には、足の計測から始めていただきます。